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2026年5月22日
重度歯周病で抜歯と言われたら?治療前に知りたい選択肢を解説
重度歯周病とは何か?どんな状態を指すのか?
重度歯周病とは、歯周ポケットが6mm以上に広がり、歯槽骨が歯根の半分以上にわたって吸収された状態です。
本記事は、重度歯周病で「抜歯が必要」と言われた方に向けて、抜歯の判断基準・歯を残すための治療選択肢・抜歯後の対応・再発予防まで、治療前に知っておくべき情報を網羅的に解説します。
重度歯周病の主な症状
重度歯周病では、以下のようなはっきりとした症状が現れます。
- 歯が大きくグラつき、食事に支障が出る
- 歯ぐきから膿(うみ)が出る
- 口臭がかなり強くなる
- 歯ぐきが大幅に下がり、歯が長く見える
- 歯と歯のすき間が広がり、食べ物が挟まりやすい
- 口の中がネバネバする
重度歯周病では歯の根元に歯石が大量に付着しており、歯を支えきれずに自然に抜けてしまうケースもあります。
軽度・中等度との違いは?
歯周病の進行度は、歯周ポケットの深さと骨吸収の程度で判断されます。
- 軽度歯周病:歯槽骨や歯根膜が破壊され始め、歯磨き時に出血する
- 中等度歯周病:歯槽骨が半分近くまで破壊され、歯がぐらつき始める
- 重度歯周病:歯周ポケット6mm以上、歯槽骨が歯根の半分以上吸収、膿や強いグラつきが生じる
重度になると、歯を残せるかどうかの精密な見極めが必要になります。
重度歯周病で抜歯が必要と判断されるのはどんな場合か?

重度歯周病でも「すべての歯が抜歯になる」わけではありません。抜歯の判断は、歯周ポケットの深さ・動揺度・骨吸収の程度・患者さんの全身状態など、複数の要因を総合して行われます。
歯周病治療の専門家が用いる予後判定では、「Good(予後良好)」「Guarded(要注意)」「Poor(予後不良)」「Hopeless(抜歯)」の4段階で評価します。「Hopeless(抜歯)」の判断は患者の意志・歯周病の重篤度・修復的要素など、さまざまな因子を総合的に考慮して行う必要があります。
一般的な抜歯の判断基準
以下のいずれかに該当する場合、抜歯が検討されることが多いとされています。
- 対症療法を行っても過度の動揺により痛くて噛めない場合
- 十分なプラーク・歯石の除去(デブライドメント)ができないほど進行した歯周炎
- 治療中に頻繁に急性膿瘍が生じ、広範囲の歯周組織破壊の原因となる場合
- どのような治療計画を立案しても利用価値が見出せない場合
ただし、注意が必要なのは、これらの基準は担当医の技術・経験によって判断が異なる点です。一般歯科医と歯周病専門医では、「十分な治療」の水準が異なることがあります。
抜歯が必要になる理由とは?
重度歯周病を放置すると、歯を支える顎の骨(歯槽骨)が失われます。「抜歯とは、歯を残すか、それとも周囲の骨を残すかという選択」であり、問題のある歯を残すことで周囲の歯を支える骨にまで悪影響が及ぶ可能性があります。
骨が大幅に失われると、その後のインプラントや義歯治療も難しくなります。そのため、「戦略的抜歯」として、中長期的なリスクを考慮したうえで抜歯を選択するケースもあります。
重度歯周病でも歯を残せる可能性はあるか?治療の選択肢を解説
重度歯周病であっても、適切な専門治療によって歯を残せるケースがあります。歯周組織再生療法の発展により、かつては抜歯と判断されていた歯でも保存が可能になってきています。
根の先端を超えた骨吸収で要抜歯と判断された歯に歯周組織再生療法を行った結果、治療終了後5年経過しても92%の歯が良好に機能していたとされています。
歯周基本治療(スケーリング・ルートプレーニング)
重度であっても、治療はまず「歯周基本治療」から始まります。
- スケーリング:歯の表面や歯周ポケット内の歯石・プラークを除去する
- ルートプレーニング(SRP):歯根の表面を滑沢に仕上げ、細菌の再付着を防ぐ
- PMTC(プロフェッショナルメカニカルトゥースクリーニング):専用機器で歯面を徹底クリーニングする
- ブラッシング指導:患者さんごとの磨き残しのクセに合わせた正しいケア方法を指導する
歯周基本治療で口腔環境を整えたうえで、改善が不十分な場合に外科的治療へ進みます。
歯周外科治療(フラップ手術)
歯周基本治療で十分な効果が得られない場合、外科的アプローチが検討されます。
- フラップ手術:歯ぐきを切開して歯根を直接確認しながら、深部の歯石・プラークを徹底除去する
- 歯周補綴治療:グラつく歯をかぶせ物で固定し、噛み合わせを安定させる
フラップ手術後に歯根の表面を滑沢に仕上げることで、今後のプラーク再付着を防ぐ処置も行っています。
歯周組織再生療法(エムドゲイン・リグロス)
炎症によって吸収した顎の骨の再生を試みる外科的治療です。
- エムドゲインゲル:骨が形成されるときに近い環境を作り出し、骨の再生を促す薬剤
- リグロス:日本で保険適用が認められた歯周組織再生誘導薬(塩基性線維芽細胞増殖因子製剤)
再生療法の適応条件と科学的根拠が詳しく示されています。再生療法の適用可否は、骨欠損の形態・患者さんの全身状態・セルフケアの質などによって判断されます。
抜歯後の治療選択肢は何があるか?入れ歯・ブリッジ・インプラントの違い

抜歯後の治療には、大きく「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」の3つの選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、残っている歯の状態・骨の量・費用・希望する機能性によって最適な方法が異なります。
入れ歯(義歯)
- メリット:保険適用で比較的安価。3本以上の欠損にも対応でき、取り外しで清掃しやすい
- デメリット:毎日の取り外し・清掃が必要。噛む力が天然歯より弱くなる。装着初期に違和感が出やすい
- 治療期間:おおむね1〜3か月程度
ブリッジ
- メリット:固定式で自然な感覚で噛める。保険適用可能で費用を抑えやすい。手術不要
- デメリット:両隣の健康な歯を削る必要がある。支えとなる歯の寿命が縮む可能性がある。固定式のため清掃が難しい
インプラント
- メリット:顎の骨に人工歯根を埋め込むため、天然歯に近い噛み心地が得られる。隣の歯を削らなくてよい
- デメリット:外科手術が必要。保険適用外で費用が高い。骨の量が不足している場合は骨造成が必要になる
- 注意点:歯周病が再発するとインプラント周囲炎のリスクがあるため、術後のメンテナンスが非常に重要
重度歯周病で多くの歯を失った場合、インプラントを選択するには骨の状態の精密評価が必要です。鎌田歯科医院の症例では、インプラント・歯の移植・矯正を組み合わせた治療で噛み合わせを回復し、8年後も良好な状態を維持した例が報告されています。
セカンドオピニオンを求めるべき場合はどんなときか?
「重度歯周病=即抜歯」と診断された場合、歯周病専門医へのセカンドオピニオンを検討することが重要です。同じ状態の歯でも、担当医の経験・技術・治療方針によって判断が異なることがあります。
歯周病専門外来の報告によると、「十分に歯を残すための考慮がなされず、重度歯周病=抜歯とあっさり診断されてしまうケースも多々見受けられる」とされています。特に、高度なSRP・歯周組織再生療法・歯周外科・歯周補綴を組み合わせた治療計画は、一般歯科医には立案が難しいケースもあります。
セカンドオピニオンを検討すべきサイン
- 治療の説明が不十分で、なぜ抜歯が必要なのか理解できない
- 歯周病専門医ではなく一般歯科医から抜歯を勧められた
- 歯周外科治療や再生療法の提案がなかった
- 「どうせ抜くしかない」と断定的に言われた
- 精密検査(歯科用CTなど)を行わずに診断された
「抜歯しましょうと言われた方は一度ご相談ください」と案内しており、日本専門医機構の歯周病専門医・指導医による科学的根拠のある診断・治療を行っています。
歯周病専門医を探す方法
- 日本歯周病学会の認定専門医・指導医:学会ウェブサイトで全国の専門医を検索できる
- 日本臨床歯周病学会の認定医:臨床経験を重視した認定制度
- 公益社団法人日本口腔インプラント学会の専門医:抜歯後のインプラント治療も視野に入れた相談が可能
重度歯周病の再発を防ぐにはどうすればよいか?予防ケアの重要性

重度歯周病の治療後に最も重要なのは、再発を防ぐための継続的な予防ケアです。歯周病は「治すもの」ではなく「管理するもの」という考え方が専門家の間では一般的です。
定期検診・プロフェッショナルクリーニング(PMTC)の効果
自宅でのブラッシングだけでは落としきれない歯石・バイオフィルム(細菌のかたまり)を除去するために、定期的な歯科医院でのケアが不可欠です。
- PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning):専用機器で歯面を徹底クリーニングし、歯石・着色汚れ・細菌のかたまりを除去する
- 定期検診:歯周ポケットの深さ・骨の状態を定期的にチェックし、再発の早期発見につなげる
- フッ素塗布:歯の表面を強化し、虫歯・歯周病になりにくい状態を維持する
鈴木歯科医院では、PMTCによる専門的クリーニングと患者さんごとに合わせたブラッシング指導を組み合わせた予防プログラムを提供しています。「しっかり磨いているつもりなのに虫歯になる」という方も、自分に合ったケア方法を知ることでお口の状態が改善しやすくなります。
自宅でできるセルフケアのポイント
歯周病の再発予防には、毎日の正しいセルフケアが基本です。
- 歯間ブラシ・デンタルフロスの使用:歯ブラシだけでは届かない歯と歯のすき間の汚れを除去する
- 正しいブラッシング方法の習得:磨き残しのクセや汚れが溜まりやすい場所を歯科衛生士に確認してもらう
- 禁煙:喫煙は歯周病の進行を加速させる重大なリスク因子。禁煙により歯周病治療の効果が高まる
- 糖尿病などの全身疾患の管理:糖尿病と歯周病は互いに悪化させ合う関係にあるため、内科との連携も重要
メンテナンスの頻度はどのくらいが適切か?
重度歯周病の治療後は、3か月に1回程度の定期メンテナンスが推奨されることが多いです。治療終了後8年間、3か月に1度のメンテナンスで良好な状態を維持した例が紹介されています。口腔内の状態が安定してきたら、担当医と相談しながら間隔を調整していきます。
鈴木歯科医院の予防歯科で「今ある歯」を守りませんか?
重度歯周病の治療後も、再発を防ぐための継続的なケアが欠かせません。鈴木歯科医院では、「治す」だけでなく「守る」ことを大切にした予防歯科に力を入れています。専用機器を使ったPMTC・患者さんごとのブラッシング指導・フッ素塗布・定期検診を組み合わせた予防プログラムで、「いつまでも自分の歯で食事を楽しみたい」という想いに寄り添います。歯磨きで血が出る・口臭が気になる・歯ぐきが下がってきたなどの症状がある方は、まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
重度歯周病と言われたら、すぐに抜歯しなければなりませんか?
すぐに抜歯が必要とは限りません。まず歯周基本治療を行い、改善が不十分な場合に外科的治療を検討します。歯周病専門医へのセカンドオピニオンも有効です。
歯周ポケットが何mmになったら重度歯周病ですか?
歯周ポケットが6mm以上になると重度歯周病とされます。歯槽骨が歯根の半分以上吸収された状態で、歯のグラつきや膿などの症状が現れます。
重度歯周病の治療費はどのくらいかかりますか?
歯周基本治療は保険適用ですが、歯周組織再生療法(エムドゲインなど)は自費診療となるケースが多く、1歯あたり数万円〜となります。インプラントを含む総合的な治療では数十万〜数百万円になる場合もあります。
歯周病で抜歯した後、インプラントはできますか?
インプラントは可能ですが、歯周病が再発するとインプラント周囲炎のリスクがあります。術前に歯周病を十分にコントロールし、術後も定期的なメンテナンスが必要です。
重度歯周病は自然に治りますか?
自然には治りません。放置すると歯槽骨の吸収が進み、歯が自然に抜け落ちる可能性があります。早期に歯科医院を受診することが重要です。
歯周病の再発を防ぐためにどのくらいの頻度で通院すればよいですか?
重度歯周病の治療後は、3か月に1回程度の定期メンテナンスが推奨されることが多いです。口腔内の状態が安定してきたら担当医と相談しながら間隔を調整します。
歯周病と糖尿病は関係がありますか?
深い関係があります。糖尿病があると歯周病が悪化しやすく、逆に歯周病があると血糖コントロールが難しくなります。両方の治療を並行して進めることが重要です。
PMTCとは何ですか?自分で歯磨きするのと何が違いますか?
PMTCは専用機器を使ったプロによる歯面クリーニングです。自宅の歯磨きでは落としきれない歯石・バイオフィルム・着色汚れを除去でき、歯周病・虫歯予防・口臭対策に効果的です。
重度歯周病の治療はどのくらいの期間がかかりますか?
症状の程度によって異なりますが、歯周基本治療から外科治療・補綴まで含めると数か月〜2年以上かかるケースもあります。鎌田歯科医院の症例では約2年半の治療期間が報告されています。
セカンドオピニオンを受けるときに持参するものはありますか?
現在の担当医からのレントゲン画像・検査結果・治療計画書があると診断の参考になります。ない場合でも、新たに検査を行ってもらうことが可能です。まずは相談だけでも受け付けている医院が多いです。
まとめ
重度歯周病で抜歯と言われても、歯周外科治療・歯周組織再生療法などの専門的治療によって歯を残せるケースがあります。まずは歯周病専門医へのセカンドオピニオンを検討し、精密検査に基づいた治療計画を立てることが大切です。抜歯後も入れ歯・ブリッジ・インプラントの選択肢があります。治療後の再発を防ぐためには、PMTCや定期検診を含む継続的な予防ケアが不可欠です。「今ある歯を守る」という視点で、早めに専門家に相談することをおすすめします。
監修医師
鈴木歯科医院 副院長 鈴木 寿和 先生

経歴
宇都宮大学教育学部附属中学校 卒業
宇都宮高校 卒業
昭和大学歯学部 卒業
千葉大学医学部大学院 卒業 (医学博士)
千葉大学医学部附属病院 歯科・顎・口腔外科 医員
安藤歯科 インプラントセンター東京 勤務
オーキッド歯科クリニック 勤務
オーキッド歯科クリニック 本院 院長就任
鈴木歯科医院 副院長 就任
所属
公益社団法人日本口腔インプラント学会
国際口腔インプラント学会
挨拶
はじめまして。 鈴木歯科医院 副院長の鈴木寿和です。 千葉大学附属病院と横浜、銀座のクリニックで世界水準の歯科医療を学び、後輩の歯科医師の教育に携わる中で、地元の宇都宮でも世界基準の医療を提供したいと思い地元に戻って参りました。 自分が受けたい治療を提供する事をモットーに日々研鑽しておりますので、お口の健康を一緒に守っていきましょう。
