2025年12月11日
インプラント難症例とは?骨造成・即時埋入など高度治療の対応方法
インプラント難症例とは何か

インプラント治療を検討される患者様の中には、「骨が足りない」「他院で断られた」といった経験をお持ちの方が少なくありません。
こうしたケースは一般的に「難症例」と呼ばれ、通常のインプラント治療では対応が難しいとされています。しかし、適切な診断と高度な技術があれば、多くの難症例でもインプラント治療は可能です。
難症例の定義は明確に定まっているわけではありませんが、主に骨量の不足、骨質の問題、解剖学的な制約、全身疾患の存在などが該当します。特に骨の高さや厚みが不足している場合、インプラント体を安定して埋入することが困難になり、追加の処置が必要となるのです。
千葉大学医学部附属病院での勤務経験を通じて、私は数多くの難症例に向き合ってきました。500症例以上のインプラント治療を行う中で、難症例への対応こそが患者様の人生を大きく変える可能性を持つと実感しています。
難症例が生じる主な原因
長期間の歯の欠損による骨吸収
歯を失った後、その部分の顎骨は徐々に吸収されていきます。
これは身体の自然な反応です。歯が存在していた時には、噛む力が骨に伝わり、骨の代謝が活発に行われていました。しかし歯がなくなると、その刺激が失われ、身体は「この骨は必要ない」と判断してしまうのです。
特に抜歯後3ヶ月から6ヶ月の間に骨吸収が急速に進行します。この期間を過ぎると吸収速度は緩やかになりますが、長期間放置すればするほど骨量は減少し続けます。結果として、インプラント埋入に必要な骨の高さや厚みが確保できなくなってしまうのです。
歯周病による骨の喪失
歯周病は日本人が歯を失う最大の原因です。
歯周病が進行すると、歯を支える歯槽骨が破壊されていきます。この破壊は不規則に進行するため、骨の形態が複雑になり、インプラント埋入の難易度が上がります。さらに、歯周病菌による感染のリスクも考慮しなければなりません。
歯周病で歯を失った場合、周囲の歯にも歯周病が存在している可能性が高く、インプラント治療の前に徹底した歯周病治療が必要になります。当院では、インプラント治療と並行して口腔内全体の健康管理を重視しています。
上顎洞の位置関係
上顎の奥歯の部分には、上顎洞という空洞が存在します。この上顎洞の位置が低い場合、インプラントを埋入するための骨の高さが不足することがあります。
上顎洞の形態や位置は個人差が大きく、CTによる詳細な診査が不可欠です。骨の高さが4mm以下の場合、通常のインプラント埋入は困難とされ、骨造成などの追加処置が必要になります。
骨造成による難症例への対応
GBR法(骨誘導再生法)
GBR法は、骨が不足している部位に骨補填材を填入し、特殊なメンブレン(膜)で覆うことで骨の再生を促す方法です。
この技術の原理は、骨の再生速度と歯肉の増殖速度の違いを利用しています。メンブレンによって歯肉の侵入を防ぎながら、骨芽細胞が骨補填材の周囲に集まり、新しい骨を形成していくのです。治癒期間は通常4ヶ月から6ヶ月程度必要となります。
当院では、患者様の骨の状態に応じて、自家骨と人工骨を適切な比率で混合して使用します。自家骨は患者様自身の骨を採取するため、生体親和性が非常に高く、骨の再生が促進されやすいという利点があります。
サイナスリフト
サイナスリフトは、上顎洞底を持ち上げて骨を造成する高度な技術です。
上顎の奥歯部分で骨の高さが著しく不足している場合に適用されます。歯肉を切開して骨に窓を開け、上顎洞粘膜を慎重に剥離しながら持ち上げ、その空間に骨補填材を填入します。5mm以上の骨の高さを獲得できる可能性がある一方で、手術の侵襲は比較的大きくなります。
千葉大学での研鑽を通じて、私はこの技術を数多く経験してきました。上顎洞粘膜の穿孔を防ぎながら、確実に骨造成を行うには、解剖学的知識と繊細な手技が求められます。
ソケットリフト
ソケットリフトは、サイナスリフトよりも低侵襲な骨造成法です。
インプラントを埋入する穴から専用器具を用いて上顎洞底を持ち上げ、骨補填材を填入します。歯肉の切開範囲が小さく、患者様の負担が軽減されるのが大きな利点です。ただし、適応できるのは骨の高さが5mm以上ある場合に限られます。
当院では、骨の状態を歯科用CTで精密に診断し、サイナスリフトとソケットリフトのどちらが適しているかを慎重に判断しています。
エキスパンジョン(骨拡大術)
骨の幅が不足している場合に用いられる技術です。
専用の器具を使用して骨を徐々に拡大し、インプラントを埋入するためのスペースを確保します。骨を削除するのではなく、圧縮しながら広げていくため、骨密度を維持しながら幅を獲得できるという特徴があります。
抜歯即時埋入インプラントの可能性

抜歯即時埋入のメリット
抜歯と同時にインプラントを埋入する方法が、抜歯即時埋入です。
この方法の最大の利点は、治療期間の大幅な短縮です。通常のインプラント治療では、抜歯後に骨の治癒を待つため3ヶ月から6ヶ月の期間が必要ですが、抜歯即時埋入ではこの待機期間が不要になります。結果として、患者様の通院回数も減少し、身体的・精神的な負担が軽減されます。
さらに、抜歯窩(歯を抜いた後の穴)にインプラントを埋入することで、骨の吸収を最小限に抑えることができます。特に前歯部では、審美性を維持する上で非常に重要な要素となります。
適応条件と注意点
抜歯即時埋入は、すべての症例に適用できるわけではありません。
適応の条件として、抜歯部位に急性の炎症がないこと、十分な骨量があること、初期固定が得られることなどが挙げられます。特に歯周病や根尖病巣による骨の破壊が大きい場合は、感染のリスクが高まるため、慎重な判断が必要です。
当院では、歯科用CTによる詳細な診査を行い、抜歯即時埋入の適応可否を判断しています。適応外と判断された場合でも、適切な治療計画を立案し、患者様にとって最善の方法をご提案します。
当院での実績
500症例以上の経験の中で、抜歯即時埋入は特に患者様の満足度が高い治療法の一つです。
治療期間の短縮だけでなく、手術回数が減ることで患者様の不安も軽減されます。ただし、この治療法は高度な技術と経験が必要であり、術前の綿密なシミュレーションと正確な埋入位置の決定が成功の鍵となります。
ガイデッドサージェリーによる精密治療
ガイデッドサージェリーとは
ガイデッドサージェリーは、CTデータをもとに作成したサージカルガイドを使用する治療法です。
事前のシミュレーションで決定した最適な位置・角度・深さに、正確にインプラントを埋入することができます。このガイドはマウスピース型のテンプレートで、患者様の口腔内に装着して使用します。ガイドに設けられた穴に沿ってドリリングを行うため、計画通りの位置にインプラントを埋入できるのです。
低侵襲治療の実現
ガイデッドサージェリーの大きな利点は、歯肉の切開範囲を最小限に抑えられることです。
従来の方法では、骨の形態を確認するために歯肉を大きく切開する必要がありました。しかしガイデッドサージェリーでは、事前のCT画像で骨の状態を把握しているため、必要最小限の切開で済みます。結果として、術後の痛みや腫れが大幅に軽減され、治癒期間も短縮されます。
患者様からは「思っていたよりも楽だった」という声を多くいただいています。
難症例における有用性
難症例では、インプラントの埋入位置や角度が特に重要になります。
骨が少ない部位では、わずかな位置のずれが治療の成否を左右します。ガイデッドサージェリーを用いることで、限られた骨の中で最適な位置にインプラントを埋入することが可能になるのです。当院では、難症例の多くでこの技術を活用しています。
全身疾患を持つ患者様への対応
糖尿病とインプラント治療
糖尿病をお持ちの患者様でも、血糖コントロールが良好であればインプラント治療は可能です。
HbA1cの値が7.0%以下にコントロールされていることが一つの目安となります。糖尿病は創傷治癒の遅延や感染リスクの増加といった問題がありますが、主治医との連携のもと、適切な管理を行えば安全に治療を進められます。
当院では、必要に応じて患者様の主治医と情報を共有し、全身状態を考慮した治療計画を立案しています。
骨粗鬆症の患者様
骨粗鬆症そのものは、インプラント治療の絶対的な禁忌ではありません。
ただし、ビスホスホネート製剤を服用されている場合は注意が必要です。この薬剤は骨の代謝を抑制するため、顎骨壊死のリスクがあります。服用期間や投与方法によってリスクは異なりますが、主治医と相談の上、休薬期間を設けるなどの対応を検討します。
心疾患のある患者様
心疾患をお持ちの患者様では、抗凝固薬の管理が重要になります。
近年では、抗凝固薬を継続したままでもインプラント手術が可能なケースが増えています。ただし、出血のリスクを考慮し、循環器科の主治医と連携しながら慎重に治療を進めます。当院では、静脈内鎮静法を用いることで、患者様の緊張を和らげ、循環器系への負担を軽減する配慮も行っています。
オールオン4による全顎治療
オールオン4の概要
オールオン4は、全ての歯を失った方、または失う予定の方に対する治療法です。
4本のインプラントで12本分の人工歯を支える画期的な方法で、従来の治療法に比べて患者様の負担を大幅に軽減できます。インプラントの本数が少ないため、手術時間の短縮、治療費の削減、身体への侵襲の軽減といった多くのメリットがあります。
骨造成を回避できる可能性
オールオン4の特徴は、インプラントを斜めに埋入することで、骨造成を回避できる可能性があることです。
後方のインプラントを傾斜させて埋入することで、上顎洞や下顎管といった解剖学的な制約を避けながら、長いインプラントを使用できます。これにより、骨量が不足している患者様でも、骨造成なしで治療できるケースがあります。
即日の歯の装着
オールオン4では、手術当日に仮歯を装着することが可能です。
朝に手術を行い、夕方には固定式の仮歯が入るため、「歯がない期間」がほとんどありません。食事や会話といった日常生活への影響を最小限に抑えられることは、患者様にとって大きな安心材料となります。ただし、仮歯の期間中は硬い食べ物を避けるなど、いくつかの注意点があります。
難症例治療における当院の強み
豊富な臨床経験
500症例以上のインプラント治療経験の中で、難症例への対応は私の専門分野の一つです。
千葉大学医学部附属病院での勤務時代、多くの複雑な症例に携わりました。大学病院には他院で治療が困難とされた患者様が紹介されてくることが多く、そこで培った知識と技術が、現在の診療の基盤となっています。
充実した医療設備
当院では、難症例に対応するための設備を整えています。
歯科用CTによる三次元的な診断、専用手術室での衛生的な環境、静脈内鎮静法による患者様の不安軽減など、安全で確実な治療を提供するための環境があります。特にCT画像による詳細な診断は、難症例治療の成否を左右する重要な要素です。
丁寧なカウンセリング
難症例の治療では、患者様との信頼関係が何より大切です。
治療の選択肢、それぞれのメリットとデメリット、治療期間、費用など、すべてを丁寧にご説明します。患者様が納得された上で治療を開始することが、成功への第一歩だと考えています。無料カウンセリングでは、歯科用CTの撮影も無料で行っていますので、まずはご自身の骨の状態を正確に把握することから始めましょう。
長期的なサポート体制
インプラント治療は、埋入して終わりではありません。
長期的に安定した状態を維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。当院では、インプラント本体に10年間、上部構造に5年間の保証を設けています。また、定期的なメンテナンスを通じて、インプラント周囲炎などのトラブルを未然に防ぎ、患者様の口腔内の健康を長期的にサポートしています。
まとめ
インプラント難症例は、決して治療不可能ではありません。
骨造成、抜歯即時埋入、ガイデッドサージェリー、オールオン4など、現代の歯科医療には様々な選択肢があります。重要なのは、患者様一人ひとりの状態を正確に診断し、最適な治療法を選択することです。
他院で「インプラントは難しい」と言われた方も、諦める必要はありません。骨の状態、全身の健康状態、患者様のご希望などを総合的に判断し、可能な治療法をご提案いたします。
宇都宮で世界基準の歯科医療を提供したいという思いで、日々研鑽を重ねています。お口の健康を一緒に守っていきましょう。
インプラント治療でお悩みの方は、まずは無料カウンセリングをご利用ください。詳しい治療内容や当院の取り組みについては、インプラント治療 鈴木歯科医院の専門サイトをご覧ください。
監修医師
鈴木歯科医院 副院長 鈴木 寿和 先生

経歴
宇都宮大学教育学部附属中学校 卒業
宇都宮高校 卒業
昭和大学歯学部 卒業
千葉大学医学部大学院 卒業 (医学博士)
千葉大学医学部附属病院 歯科・顎・口腔外科 医員
安藤歯科 インプラントセンター東京 勤務
オーキッド歯科クリニック 勤務
オーキッド歯科クリニック 本院 院長就任
鈴木歯科医院 副院長 就任
所属
公益社団法人日本口腔インプラント学会
国際口腔インプラント学会
挨拶
はじめまして。 鈴木歯科医院 副院長の鈴木寿和です。 千葉大学附属病院と横浜、銀座のクリニックで世界水準の歯科医療を学び、後輩の歯科医師の教育に携わる中で、地元の宇都宮でも世界基準の医療を提供したいと思い地元に戻って参りました。 自分が受けたい治療を提供する事をモットーに日々研鑽しておりますので、お口の健康を一緒に守っていきましょう。