2025年12月12日
All-on-4の費用相場と治療内容|全顎インプラントとの違いを徹底比較
歯を失った方へ:All-on-4という選択肢

多くの歯を失ってしまった方にとって、「もう一度しっかり噛める歯を取り戻したい」という願いは切実なものです。
従来のインプラント治療では、失った歯の本数だけインプラントを埋入する必要があり、全ての歯を失った場合には片顎で12〜14本ものインプラントが必要でした。そのため、手術時間が長くなり、身体への負担も大きく、費用も高額になるという課題がありました。
しかし、All-on-4という治療法の登場により、この状況は大きく変わりました。最小4本のインプラントで片顎全体の人工歯を支えることができるこの革新的な治療法は、患者様の身体的・経済的負担を大幅に軽減しながら、しっかりと噛める機能を取り戻すことを可能にしています。
本記事では、All-on-4の費用相場や治療内容について詳しく解説し、従来の全顎インプラント治療との違いを徹底的に比較していきます。治療法の選択に迷われている方にとって、最適な判断材料となる情報をお届けします。
All-on-4とは何か:革新的なインプラント治療法の全貌
All-on-4の基本概念と開発背景
All-on-4は、ポルトガルの歯科医師Dr.パウロ・マロによって開発された画期的なインプラント治療法です。
この治療法の最大の特徴は、前歯から奥歯まで一体となった人工歯を、最小4本のインプラントで完全に固定できるという点にあります。従来の「1本の歯に対して1本のインプラント」という概念を覆し、力学的に最適な位置にインプラントを配置することで、少ない本数でも十分な支持力を確保できるのです。
開発者のDr.マロは、患者様の身体的・経済的負担を軽減したいという強い思いから、長年の臨床研究を重ねてこの治療法を確立しました。現在では世界中で広く採用され、多くの患者様に笑顔と噛む喜びを取り戻しています。
治療の仕組みと技術的特徴
All-on-4の技術的な特徴は、インプラントの配置方法にあります。
前方の2本のインプラントは垂直に埋入し、後方の2本は30〜45度の角度をつけて傾斜埋入します。この傾斜配置により、骨の厚みのある部分を効果的に利用でき、骨造成手術を回避できるケースが多くなります。また、インプラント同士の距離を広く取ることで、力の分散が効率的に行われ、安定性が向上します。
さらに、手術当日に仮歯を装着できる即時荷重という特徴も見逃せません。これにより、治療期間中も見た目や噛む機能を維持できるため、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。
適応症例と治療対象者
All-on-4は、特に以下のような方に適した治療法です。
全ての歯を失った方、または残っている歯が重度の歯周病や虫歯で抜歯が必要な方が主な対象となります。また、総入れ歯が合わずに困っている方、入れ歯の不安定さから食事や会話に支障をきたしている方にも有効な選択肢となります。
骨の量が不足していて従来のインプラント治療が難しいと診断された方でも、All-on-4であれば治療可能なケースが多くあります。骨の厚みのある部分を選んでインプラントを配置できるため、骨造成手術を必要としない場合が多いのです。
All-on-4の費用相場:詳細な内訳と価格設定の理由
片顎治療の標準的な費用範囲
All-on-4の費用相場は、片顎(上顎または下顎のいずれか)あたり200万円〜400万円程度が一般的です。
この価格幅が生じる理由は、使用するインプラント体のメーカーや材質、上部構造(人工歯)の種類、クリニックの立地条件、医療設備の充実度、保証制度の内容など、さまざまな要因によって異なるためです。
標準的なケースでは、片顎で約300万円前後が平均的な費用となります。上下両方の顎を治療する場合は、約600万円前後が相場となりますが、クリニックによっては両顎同時治療の割引を設定している場合もあります。
費用に含まれる項目の詳細
All-on-4の治療費には、通常以下の項目が含まれています。
初診時のカウンセリング費用、歯科用CTを含む各種検査費用、治療計画の立案費用、インプラント体(4〜6本)の費用、手術費用、麻酔費用(静脈内鎮静法を使用する場合はその費用も含む)、仮歯の製作・装着費用、最終的な上部構造(人工歯)の製作・装着費用、術後の定期検診費用(一定期間)などが含まれます。
ただし、クリニックによって費用に含まれる項目は異なるため、治療前に詳細な見積もりを確認することが重要です。追加費用が発生する可能性がある項目についても、事前にしっかりと説明を受けておくことをお勧めします。
価格差が生じる主な要因
同じAll-on-4治療でも、クリニックによって価格が大きく異なる理由があります。
使用するインプラント体のメーカーによって価格は変動します。世界的に信頼性の高いメーカーの製品は高価ですが、長期的な安定性と実績があります。また、上部構造の材質も価格に影響します。ジルコニアやセラミックなど、審美性と耐久性に優れた材料を使用すると費用は高くなりますが、見た目の美しさと長期的な機能維持が期待できます。
クリニックの立地条件も価格設定に影響します。都心部の一等地にあるクリニックは、地方のクリニックと比較して賃料などの運営コストが高いため、治療費も高めに設定される傾向があります。さらに、歯科用CTやガイデッドサージェリーシステムなどの最新医療設備を導入しているクリニックでは、設備投資のコストが治療費に反映されることがあります。
従来の全顎インプラント治療との費用比較

従来のインプラント治療の費用構造
従来の全顎インプラント治療では、基本的に失った歯の本数分のインプラントを埋入します。
全ての歯を失った場合、片顎で12〜14本のインプラントが必要となり、総額は480万円〜960万円が相場とされています。1本あたりのインプラント費用は20万円〜40万円程度で、これに検査費用、手術費用、上部構造の費用、アフターケア費用などが加算されます。
上下両顎を治療する場合は、さらに倍の費用がかかることになり、経済的負担は非常に大きくなります。また、埋入本数が多いため、手術時間も長くなり、身体への負担も増大します。
All-on-4がコスト削減できる理由
All-on-4が従来の治療法よりも費用を抑えられる理由は、複数の要因が組み合わさっています。
最も大きな要因は、埋入するインプラント体の本数が少ないことです。従来の方法では12〜14本必要だったインプラントが、All-on-4では4〜6本で済むため、インプラント体そのものの費用が大幅に削減されます。また、手術時間も短縮されるため、手術費用や麻酔費用も抑えられます。
さらに、基本的に骨造成手術が不要であることも、コスト削減の重要な要因です。骨造成手術には別途費用がかかり、治療期間も延びるため、これを回避できることは経済的にも時間的にも大きなメリットとなります。治療回数と通院回数が少ないことも、交通費や時間的コストの削減につながります。
長期的なコストパフォーマンスの視点
治療費を比較する際は、初期費用だけでなく長期的な視点も重要です。
All-on-4は、適切なメンテナンスを行うことで10年、20年と長期にわたって使用できます。メンテナンス費用は1回あたり4,000円〜20,000円程度で、3ヶ月に1回のペースで行うのが一般的です。年間では16,000円〜80,000円程度のメンテナンス費用がかかりますが、これは入れ歯の調整や作り直しにかかる費用と比較しても決して高額ではありません。
また、多くのクリニックでは保証制度を設けており、インプラント本体に10年間、上部構造に5年間の無償保証を提供している場合があります。これにより、万が一のトラブルにも対応できる安心感があります。長期的に見れば、All-on-4は費用対効果の高い治療法と言えるでしょう。
All-on-4と全顎インプラントの治療内容の違い
手術方法と埋入本数の違い
All-on-4と従来の全顎インプラント治療では、手術方法に明確な違いがあります。
All-on-4では、4〜6本のインプラントを戦略的な位置に配置します。前方の2本は垂直に、後方の2本は30〜45度の角度をつけて傾斜埋入することで、骨の厚みのある部分を効果的に利用します。この配置により、力の分散が最適化され、少ない本数でも十分な支持力を確保できます。
一方、従来の全顎インプラント治療では、失った歯の位置に合わせて12〜14本のインプラントを垂直に埋入します。各インプラントが独立して1本の歯を支えるため、より多くの埋入本数が必要となります。手術時間も長くなり、身体への負担も大きくなる傾向があります。
治療期間と即時荷重の有無
治療期間においても、両者には大きな違いがあります。
All-on-4の最大の特徴の一つが、手術当日に仮歯を装着できる即時荷重です。朝に手術を行い、その日の夕方には仮歯が入るため、治療期間中も見た目や噛む機能を維持できます。最終的な上部構造の装着までは通常3〜6ヶ月程度かかりますが、その間も仮歯で日常生活を送ることができます。
従来の全顎インプラント治療では、インプラントを埋入してから骨と結合するまで3〜6ヶ月の治癒期間を待つ必要があります。その間は入れ歯を使用するか、歯がない状態で過ごすことになります。また、埋入本数が多いため、手術を複数回に分けて行うケースもあり、治療期間全体が長くなる傾向があります。
骨造成手術の必要性
骨造成手術の必要性も、両治療法の重要な違いです。
All-on-4では、骨の厚みのある部分を選んでインプラントを配置できるため、基本的に骨造成手術が不要です。後方のインプラントを傾斜埋入することで、上顎洞や神経を避けながら、十分な長さのインプラントを埋入できます。これにより、手術の複雑さが軽減され、治療期間も短縮されます。
従来の全顎インプラント治療では、骨の量が不足している部位にもインプラントを埋入する必要があるため、骨造成手術が必要になるケースが多くあります。サイナスリフト、ソケットリフト、GBRなどの骨造成技術を用いて骨を増やす手術を行いますが、これには別途費用がかかり、治療期間も延びることになります。
メンテナンスと清掃性の違い
治療後のメンテナンスにおいても、違いがあります。
All-on-4は、一体型の上部構造を使用するため、清掃が比較的容易です。歯間ブラシや専用のフロスを使用して、インプラントと歯肉の境界部分を丁寧に清掃します。定期的なプロフェッショナルケアと適切なセルフケアにより、長期的な安定性を維持できます。
従来の全顎インプラント治療では、各インプラントが独立しているため、それぞれのインプラント周囲を個別に清掃する必要があります。清掃箇所が多くなるため、より丁寧なセルフケアが求められます。ただし、個別に管理できるため、一部にトラブルが生じた場合でも、その部分だけを修理できるというメリットもあります。
All-on-4のメリットとデメリット
All-on-4の主なメリット
All-on-4には、多くの優れた利点があります。
最大のメリットは、手術当日に仮歯が入ることです。朝に手術を受けて、その日の夕方には歯が入った状態で帰宅できるため、見た目や噛む機能を維持しながら治療を進められます。これは、仕事や社会生活を続けながら治療を受けたい方にとって、非常に大きな利点となります。
身体への負担が少ないことも重要なメリットです。埋入本数が少ないため、手術時間が短く、術後の腫れや痛みも軽減されます。また、基本的に骨造成手術が不要なため、手術の複雑さが軽減され、回復期間も短縮されます。
費用面でも、従来の全顎インプラント治療と比較して経済的負担を抑えられます。埋入本数が少ないことで、インプラント体の費用、手術費用、治療期間に関連する諸費用を削減できます。
さらに、固定式であるため、入れ歯のような取り外しの手間がなく、天然歯に近い感覚で食事や会話を楽しめます。安定性が高く、硬い食べ物もしっかりと噛むことができるため、食事の質が向上し、栄養摂取も改善されます。
All-on-4のデメリットと注意点
一方で、All-on-4にもいくつかのデメリットや注意点があります。
残っている歯がある場合、それらを抜歯する必要が生じることがあります。All-on-4は、全ての歯を失った方、または残っている歯が重度の歯周病などで保存が難しい方を対象とした治療法であるため、健康な歯が残っている場合は、他の治療法を検討する必要があります。
また、4〜6本のインプラントで全体を支えるため、1本のインプラントにトラブルが生じた場合、全体に影響が及ぶ可能性があります。従来の治療法では、1本のインプラントに問題が生じても他の部分は影響を受けませんが、All-on-4では全体が一体構造となっているため、修理や調整が必要になることがあります。
さらに、すべての歯科医師がAll-on-4の治療を行えるわけではありません。高度な技術と経験が必要な治療法であるため、実績のある歯科医師を選ぶことが重要です。治療を検討する際は、医師の経験や症例数、使用する設備などを十分に確認することをお勧めします。
治療法の選択:どちらを選ぶべきか
All-on-4が適している方
All-on-4は、特に以下のような方に適した治療法です。
全ての歯を失った方、または残っている歯が重度の歯周病や虫歯で抜歯が必要な方が主な対象となります。総入れ歯が合わずに困っている方、入れ歯の不安定さから食事や会話に支障をきたしている方にも、All-on-4は有効な選択肢となります。
骨の量が不足していて従来のインプラント治療が難しいと診断された方でも、All-on-4であれば治療可能なケースが多くあります。また、手術や治療期間に対する身体的・時間的負担を最小限に抑えたい方、費用を抑えながらも高品質なインプラント治療を受けたい方にも適しています。
仕事や社会生活を続けながら治療を受けたい方にとって、手術当日に仮歯が入るAll-on-4は理想的な選択肢となるでしょう。
従来の全顎インプラントが適している方
一方、従来の全顎インプラント治療が適している方もいます。
健康な歯がまだ複数本残っている方は、All-on-4の適用にはならず、従来のインプラント治療や他の治療法を検討する必要があります。また、骨の状態が良好で、個別のインプラントを埋入できる方も、従来の方法を選択できます。
各インプラントを独立して管理したい方、将来的に一部のインプラントだけを修理や交換したい方にとっては、従来の方法が適している場合があります。また、治療期間に余裕があり、段階的に治療を進めたい方も、従来の方法を選択できます。
医師との相談の重要性
最適な治療法の選択には、専門医との十分な相談が不可欠です。
口腔内の状態、骨の量や質、全身の健康状態、生活習慣、予算、治療期間の希望など、さまざまな要因を総合的に考慮して、最適な治療計画を立てる必要があります。歯科用CTによる精密な診査・診断を行い、複数の治療オプションを比較検討することで、患者様一人ひとりに最適な治療法を選択できます。
当院では、無料カウンセリングを実施しており、歯科用CTの無料撮影も行っています。治療に関する不安や疑問があれば、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。経験豊富な医師が、患者様の状態に合わせた最適な治療プランをご提案いたします。
費用負担を軽減する方法
医療費控除の活用
All-on-4治療は自由診療ですが、医療費控除の対象となります。
医療費控除は、自分自身や扶養家族が1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合、その超えた分を年間の所得金額から控除できる制度です。All-on-4の治療費は高額であるため、多くの場合で医療費控除の対象となります。
確定申告の際に申請手続きを行うことで、所得税の還付と翌年度の住民税減額を受けることができます。治療費の領収書や交通費の記録を保管しておくことが重要です。医療費控除を活用することで、実質的な負担額を軽減できます。
デンタルローンの利用
多くの歯科医院では、デンタルローンを利用できます。
デンタルローンは、歯科治療費を分割払いできる専用のローンです。一括での支払いが難しい場合でも、月々の負担を抑えながら治療を受けることができます。審査が必要ですが、比較的利用しやすい条件が設定されている場合が多く、多くの患者様が活用しています。
当院では、現金、クレジットカード(VISA、MasterCard)、デンタルローンでのお支払いに対応しています。支払い方法について不明な点があれば、受付スタッフまでお気軽にお尋ねください。患者様の経済状況に合わせた最適な支払いプランをご提案いたします。
保証制度の確認
治療費を検討する際は、保証制度の内容も重要な要素です。
当院では、インプラント本体に10年間、上部構造に5年間の無償保証を提供しています。万が一のトラブルにも対応できる安心の保証制度により、長期的な視点で治療を受けていただけます。保証内容はクリニックによって異なるため、治療前に詳細を確認することをお勧めします。
まとめ:あなたに最適な治療法を見つけるために
All-on-4は、最小4本のインプラントで片顎全体の人工歯を支える革新的な治療法です。
費用相場は片顎で200万円〜400万円程度、平均的には約300万円前後となります。従来の全顎インプラント治療と比較すると、埋入本数が少ないため、身体的・経済的負担を大幅に軽減できます。手術当日に仮歯が入る即時荷重により、治療期間中も見た目や噛む機能を維持できることも大きな魅力です。
一方、従来の全顎インプラント治療は、各インプラントが独立しているため、個別の管理がしやすいという特徴があります。健康な歯が残っている場合や、骨の状態が良好な場合は、従来の方法も有効な選択肢となります。
最適な治療法の選択には、口腔内の状態、骨の量や質、全身の健康状態、生活習慣、予算、治療期間の希望など、さまざまな要因を総合的に考慮する必要があります。専門医との十分な相談を通じて、患者様一人ひとりに最適な治療計画を立てることが重要です。
当院では、500例以上のインプラント治療経験を持つ医師が、患者様の状態に合わせた最適な治療プランをご提案いたします。ガイデッドサージェリーによる正確な埋入、抜歯即時埋入インプラントによる治療期間の短縮、他院で断られた難症例への対応など、高度な技術と充実した医療設備により、安心して治療を受けていただける環境を整えています。
無料カウンセリングと歯科用CTの無料撮影を実施していますので、まずはお気軽にご相談ください。あなたの笑顔と噛む喜びを取り戻すお手伝いをさせていただきます。
詳しい治療内容や費用については、インプラント治療 鈴木歯科医院の専門サイトをご覧ください。経験豊富な医師が、あなたに最適な治療法をご提案いたします。
監修医師
鈴木歯科医院 副院長 鈴木 寿和 先生

経歴
宇都宮大学教育学部附属中学校 卒業
宇都宮高校 卒業
昭和大学歯学部 卒業
千葉大学医学部大学院 卒業 (医学博士)
千葉大学医学部附属病院 歯科・顎・口腔外科 医員
安藤歯科 インプラントセンター東京 勤務
オーキッド歯科クリニック 勤務
オーキッド歯科クリニック 本院 院長就任
鈴木歯科医院 副院長 就任
所属
公益社団法人日本口腔インプラント学会
国際口腔インプラント学会
挨拶
はじめまして。 鈴木歯科医院 副院長の鈴木寿和です。 千葉大学附属病院と横浜、銀座のクリニックで世界水準の歯科医療を学び、後輩の歯科医師の教育に携わる中で、地元の宇都宮でも世界基準の医療を提供したいと思い地元に戻って参りました。 自分が受けたい治療を提供する事をモットーに日々研鑽しておりますので、お口の健康を一緒に守っていきましょう。